突然ですが、高知には魅力的なお店(会社)が沢山あるように思います。
お店の雰囲気がお洒落だとか、置いている商品がトレンドだとかそういう類の意味では無く、お店が出来るまでの背景であったり、店主の人間性であったり、そこにいる「人」の「思い」が創っているものであったり。
私は美味しいものが好きで、県外や海外に遊びに行った時は必ず地元の人から紹介して頂いたお店に行きます。(勿論、ガイドブックに載っているお店にも行きますよ)
今回も、高知のそんなお店に行ってきました。
場所は、土佐和紙で有名な伊野町。(ちなみに、高知には土佐和紙の技術を応用してコンデンサーの絶縁体を作っている会社があり、世界シェア60%を誇っています!)
JR伊野駅から西へ向かって4つ目の信号、関田病院を入ったところにある、喫茶店です。
行ってみると、金田一幸助が出てきそうなとても古くて立派な建物があり、中から、かすかにジャズの音か漏れています。
中へ入ると、いろんな物がおいてあり、ちょっとしたギャラリーのようです。
更に奥へ入っていくと座敷があり、敷居が1.2mほど高くなっています。(昔、客間として建てられた離れだったそうです)
奥の方から店主の方が出てきて、「どこでもお好きなところに」というので座敷へ。
中はこんな感じです。
驚いたことに、改装はあまりしていないらしく、かなり良い状態で保存されていたようです。
襖戸の張り紙も張替たりせず、昔のままの状態。
取っ手の形は、土居家の家紋をあしらって作られたそうで、襖の紙も当時を偲ばせます。
建物について、店主に色々聞いてみましたら、この家が建てられたのは明治の頃で、いわゆる武家屋敷の名残があちらこちらに残っており、京都の学者さんが観に来られたりするそうです。
もともとは、和紙で財を成した土居さんという方が明治の頃に建てた家で、取り壊す予定になっていたそうです。それを聞きつけた店主が、「この家は残さなければならない!」という、神(紙?)の声を聞いたのかどうか定かではありませんが、何故か、そう思ってしまったらしく(笑)、一年発起して借り上げる事にしたのだそうです。
築100年を軽く超える建物となると、私のように不動産を扱う人間だと気になるのが、「基礎はどうなっているの?」という点。
これを聞いてみると、自然石の上にそのまま束を乗せているだけとのこと。
ただ、束石に水が溜まって木が腐らないように、束が乗る部分は斜めに切ってあるそうです。たったこれだけで100年以上持つんですね 😛
他にも、建物の作りについて、何故そうなっているのかを、沢山伺いました。
どれも、「ほう!」と唸る事、関心する事ばかりでした。(これについては、また別の機会にお話しします)
さて、注文していたチーズケーキを食べるのも忘れ、一通り店主のお話を聞いていると、このお店の魅力は店主の魅力そのものでもあるなと感じました。
「ある日、お客さんが『ここの縁側は月見によさそうだね』というもんだから満月の日に中庭の灯篭に火を付けて団子を準備しましてね、これでばっちり、と来客を期待してたのに一人も来なかったんですよ」、と笑いながら語る店主の笑顔が忘れられません。
そんな魅力的な店主のいるお店では、時々イベントもやっているそうで、「どんなイベントやるんですか?」って聞いてみると、「フラメンコとか寄席をやりました」との事。
面白そうなので、今度は、イベントの時にお邪魔してみようと思います。
皆さんも良かったら、時間を忘れさせてくれる隠れ家的cafe、高知の土居邸に行かれては如何でしょう?